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二人のおやじ

その日はウェディングパーティが行なわれる日だった。
春だったが、コマーシャル用の写真撮影のために、
朝からリビングスペースにある大きな薪ストーブを焚いた。
パーティは終わったが、
その日は新郎新婦のご両親が宿泊される。
ディナーで二人の[オヤジ]たちは
長い間語り合っておられた。
それだけでは足りないのだろう、
リビングスペースに移って
夜中までそこにいたという。
(私たちは疲れて眠ってしまった)
私たちの夫婦は結婚して8年。
それぞれのオヤジ同士が
面と向かって話をする機会はほとんどなかった。
それはそれでいいんじゃないかと、思っていた。
結婚はなんといっても結婚されるお二人のものだ。
しかし、育ててこられたご両親との歴史は深い。
30年前後のそれぞれの歴史を背負って、そこにいる。
「娘の名前ははこんな思いを込めたんだ」とか、
「息子はこんな男だけど、実はやさしいやつなんだ」なんて
語り合ながらお二人のご家族がきちんと面と向かう場が
こんなふうに大切にされてもいいのかもしれないと思った。
薪ストーブは消えてしまわない程度に、
すこしづつ薪を足していた。
私たちが寝てからも、
残り火がオヤジたちを少しだけ
暖めていたかもしれない。
by mesonbox1 | 2003-04-28 17:47