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「慣例」と「既成」。

c0047201_16595274.jpg「お二人の結婚式に、何十人ものゲストをご招待されるのは、どうしてですか?」こんなことを結婚しようとするカップルにお聞きする。
「みんながするから」以外の理由を明確にすることが、自分たちなりの結婚式のイメージをつくろうとするお二人にとって、とても大事だからだ。


余命一か月の宣告を受けた同居の義父が、その晩に亡くなった。
「準備を始めないとね」という矢先の出来事だった。
かなり慌てた。

葬儀屋さんがやってくる。
「段取りはこうなります。お通夜の流れはこう。告別式の流れはこう。祭壇・霊きゅう車・棺はどれがご希望ですか?」
これに近いやりとりは、どこかでもありそうな気がしてきた。
そう、ブライダル業界だ。

ちょっと冷静になるために、一度葬儀屋さんにお帰りいただく。
「私たちは、なんのために葬式をするのか?」
そんな不思議なテーマで、家族会議を始めた。
いくつかのポイントがあがる。
そのポイントを実現するために、家族に何ができるか。

実質的に、家族が主催する葬儀にすること。
会場はメソン、祭壇はつくらず花は家族で生けこむ。
進行役は長女(私の妻)が担当し、父のことやお礼をきちんと語ること。
義父の生きた道のりを自作のスライドショーで紹介するなど、
いくつかのポイントを盛り込もうと決めた。

とにかく、葬儀屋さんペースでつくられる
名前を差し変えるだけの台詞がならぶ
葬儀にだけはしたくなかった。
それが義父の死に対して、できる唯一のことだと思った。
ほかのだれでのものでもない、この人だけの葬儀。


あるご夫婦がこんな会話をしながら、岐路につかれたようだ。
「お父さん、私の葬式もあんなふうにしてほしいわぁ」
葬儀屋さんは「一番印象に残る葬儀でした。ぼくのこれからの仕事の転機になると思う」と。

目立ちたかったわけではない。

故人を大切に扱うこと。
家族の思いを大切にすること。
参列の方々に心からの感謝を伝えること。
この3つを短かい準備期間内で、精いっぱいのことをしたということだ。

冠婚葬祭には、「慣例」や「既成」がいつもつきまとう。
でもそれらには、本来の意味を失ってしまったものも少なくない。
それに縛られると、大切なものを見のがしてしまうことがあるのだ。
by mesonbox1 | 2008-03-11 21:18