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文治郎という名を持つ男。

福井県に入ると、いつも思い出す男がいる。
彼は文治郎という古風な名を持つ。


名古屋言語圏に育ったぼくは、
大学に入り関西言語圏の人間たちに囲まれ、かなり戸惑っていた。

その中で、当時のぼくには強烈なインパクトを持つ言語を発するヤツがいた。
それが文治郎だった。

関西圏のすぐとなりの福井で、
強い方言を発する地域があることを初めて体験したのだ。


同時に彼の発言内容は、いまでも忘れられない。


同じゼミに所属していたのだが、
その日の議論のテーマは原発だった。

高校を卒業したてのぼくたちには、大きすぎるテーマだったが、
みんなどこからか借りてきたような、発言を繰り返していた。

文治郎は「みんな原発を福井に押し付けて、ひとごとのように暮らしている。
それに腹が立つ。本当に安全だって言うんだったら、
お前らの家の近くに原発をつくったらいいんじゃ!」


日本で最初の原子力発電が行われたのは1963年。
ぼくたちが生まれた年に、スタートした。

ぼくたちがそんな議論をしていたときから、約30年。
文治郎が指摘した構図は、全く変わらないまま今に至る。




彼の名を検索すると、地元の中学校で教員をしているようだ。
あの言葉で、子どもたちに何を伝えているのか……。
by mesonbox1 | 2012-05-24 08:52