大人な映画。
観た人を「大人な気分」にさせる映画ってあると思う。
20代の頃、そんなことをぼくに初めて思わせたのは、
「仕立て屋の恋」という映画だった。
フランスのパトリス・ルコントという監督の作品だ。
異常なほどの清潔好きで閉鎖的な性格をした中年男の、清らかだが悲しい恋の物語。
若さゆえに粗雑だったぼくには、その繊細さは「大人」だったのだ。
パトリス・ルコントの最新作を観た。
「ぼくの大切なともだち」。
中年の美術商が自分の誕生日のディナーに
集まった全員から「お前の葬式には誰も来ない」
と言われ、ショックを受ける。
友人たちにコンタクトをとるが、
誰も彼を親友だとは思っていない事を思い知る。
タクシー運転手の親しみやすさを目にした彼は、
人と仲良くなるコツを学ぶ事にするが…。
そんなストーリーだ。
「自分の葬式に何人の人が集まってくれるか?」
ちょっと身につまされる問いでスタートするが、
ちゃんとあったかい気分で観おわることができる。
展開の繊細さはやっぱり「大人な気分」なのだ。
by mesonbox1
| 2009-06-25 10:17